FANコントローラ作成
<完成品の販売や作成代行は行っていません>
 

メーター内へ埋め込んだ表示部
 以下はV6のプレッソについて書いてあります。
 プレッソで後付の油温計を付けている人から話を聞くと、油温は常時95℃〜100℃近くを指していて、高回転を使うような走り方をすると120℃〜125℃(!)、町中の渋滞の時でも110℃にも達する時があるらしいです。普通のエンジンと比べて少し油温が高めです。プレッソはエンジンオイルが劣化するのが早いのですが、この原因は油温にあるんでしょうね。
エンジンオイルを長時間高温下にさらすと粘度が下がり油圧が低下して、結果としてラッシャアジャスタにも悪影響が出ます(カチャカチャと音が出始める)。 油温を下げるもっとも効果的な方法はオイルクーラーを付けることですが、もちろんプレッソ対応と銘打った商品はありません。汎用品を使用することになりますが、取り付け位置などを考えると少々敷居が高いです。さらにV6の場合は小排気量マルチシリンダーという特殊なエンジンなので油圧が維持しにくくなるといった話しも聞きます。

もっと手軽に油温を下げたい
 そこで考えたのが水温を下げることによって油温も一緒に下がらないか?という案です。 水温は町中で95℃〜100℃を行ったり来たりしています。これを常時90℃くらいに安定できればそれなりに油温にも効果ありそうです。
水温対策でオーソドックスな方法といえばラジエータコア交換です。V6用のラインナップは見つからなかったので業者に特注品見積もりを 出してもらい、銅2層で8万円という回答を頂きました。少々高いですね(^^;)。
 そこでラジエータファンを強制的に回して水温を下げようという方法を思いつきました。この為に作ったのがFANコントローラです。
 マイコンはPICを使いました。こういった簡単な制御にはもっとも適しているCPUです。今回はちょっと部品点数が多くなりましたけど、特に複雑な事はやっていません。

ラジエータファンFANコントローラの外観
 

動作原理について
 通常クーリングファンの制御はECUが行っています。特定の条件になるとECU内のパワートランジスタを駆動させてエンジンルーム内の ファンリレーをONにしています。
今回作ったFANコントローラは、ECUに入力されている水温センサ信号から水温を算出して、前述のファン用配線に割り込みを掛けて ファンリレーを操作し、ファンを強制的に回しています。
プレッソはラジエータファンとコンデンサファンの2つを装備しています。コンデンサファンはエアコンの動作時にしか動作しないので、 このファンも水温対策用として積極的に使用してみることにしました

機能について
 水温が設定値-3℃に達したらラジエータファンを駆動し、設定値以上になってしまったらコンデンサファンを同時に動かしています (ファン駆動個数は出来るだけ1つとし、電力消費を押さえる為)。 また設定温度付近で値がばらついた場合、短い時間でファンがON/OFFを繰り返してしまうので(モータにあまり良くない)、最低10秒間は動作させ、さらに一定値まで温度が下がらないとファンを停止させない仕様としました。
ラジエータの放熱量は季節によって大きく異なるので、ファンを駆動させる温度は1℃刻みで自由に設定出来るようにしています。

 今回の密かな目玉はこの表示器です。通常の14PのICと同じサイズに5桁の7SEGが収まっています。すごいと思いません?
秋葉原でこれを見つけた時は思わず「おおっ」っと言ってしまいました(笑)。これだけ小さいとメーターユニットの中にも簡単に収まります(TOP絵参照)。
この表示器に水温を表示させています。純正センサーを利用した簡易水温計にもなります。7SEGの表示処理はドライバICを使わずにマイコン単体で制御しています(ダイナミック点灯方式)。

極小の7SEG水温表示をさせています
 

効果について
 FANコントローラの設定値は90℃にして実験を行いました。
[水温について]
通常走行、高速走行、町中渋滞などを試してみましたがほぼ90℃で安定しました。

[油温について]
肝心の油温ですが、私の車には油温計が付いていないのでゆきやんの車に取り付けて実験を代行してもらいました。さて、結果ですが、

走行条件ノーマルFANコントローラ付き
設定値:90℃
(夏場)高速道路105℃〜110℃105℃
(夏場)街乗り(流れは良い)100℃90℃〜100℃
(夏場)街中渋滞中95℃〜110℃90℃
(夏場)峠などで高回転を多用115℃〜120℃105℃〜110℃
 

 こんな結果になったそうです。ゆきやん曰く「油温対策としては効果抜群」だそうです。
高回転を多用する場合などはエンジン熱量も多く、ファンだけでは対応出来ないようで110℃近くになってしまいますが、回転を下げると油温も「すーっ」っと下がっていくようになったそうです(以前はアクセル抜いても下がらなかった)。
渋滞中の場合の効果は素晴らしいです。私は都内在住で渋滞にはよく捕まりますので、渋滞中の油温が下がるのはけっこう嬉しいです。

 

問題点(というか心配事)
 今回のように設定温度を90℃にした場合はほとんどファンが回りっぱなしのようでした。通常ラジエータファンは103℃になってから 駆動するので動作頻度が多くなり、結果としてファンの寿命が短くなる恐れがあります。但しこれがどれくらい短くなるかは資料がないので不明です。ただしラジエータファンは交換が容易な位置にありますので、人によっては問題点にはならないですね(笑)。

 

個人的な総評
 V6プレッソにとっては、お手軽かつ効果的な熱対策になりました。水温も90℃くらいであれば部品クリアランスに影響はないと思います(純正サーモスタットは82℃から開きます)。これで猛暑も安心です。

 

時間があれば読んで下さい(^^;)
最近この手のネタを公開すると「作って下さい」とか「○○円で売って下さい」などのメールを多く頂きます。大変申し訳ないのですが、 基本的に作成の代行はしていません。いくつか理由がありますが一番の理由は「かなり手間が掛かる」からです。 FANコントローラですと基板配線やハーネス作成など全部含めて4〜5時間掛かります。部品調達や動作確認の時間も考えると これだけで休日が一日潰れてしまいます。全員の方に作るのは無理です(笑)。
 でも、やっぱり欲しいと言う方は是非自作して下さい。作成に関して高度な技術力は必要ありません。 ラジオが自作できる程度の技量と電気回路に対する知識があれば問題なく作成出来るレベルの物です。これからはんだごて準備するという 方はあきらめて、近くの工作好きな人にでも頼んで下さい。一番敷居が高いであろうと思われるPICマイコンはプログラム済みの物を 無償で配布しています。その他の部品は秋葉原を一回りすれば手に入りますし、通販でも買えます。 一度この類の物を作ると自分自身大きくスキルアップしますので、自作のメリットは大いにありますよ(^^)v。

 いつものように要望があれば回路図と部品表とプログラムファイルを公開します。

 

'04/06/27追記
要望がありましたので回路図を掲載しました。こちらをクリックして下さい。
ファームウェア(HEXファイル)と説明書はこちらからどうぞ。突然公開中止にするかもしれませんがご了承下さい。
fanctrl1.zip 12KB
 

重要!この基板が原因で生じるいかなる損害についても責任を負いません